ラートリー(Rātrī)は、夜の意で、インド神話における夜の女神である。天空神ディヤウスの娘で、暁の女神ウシャスの姉。また太陽の母とされる。『リグ・ヴェーダ』における数少ない女神の1つであり、ウシャスとともに称えられることが多いが、独立讃歌はわずか1詩篇にとどまる(10巻127)。讃歌においては夜間の安全と安息が祈願されており、それによると女神は夜空の星を目としてあらゆる地を監視し、ウシャスと交代して暗闇を遠ざけ、帰路に就く者を守護し、オオカミや盗人を遠ざけるという。
脚注
参考文献
- 『リグ・ヴェーダ讃歌』 辻直四郎訳、岩波文庫(1978年)
- 菅沼晃編『インド神話伝説辞典』、東京堂出版(1985年)



