『EXPERIENCE MOVIE (未公開のエクスペリエンス・ムービー)』(エクスペリエンス・ムービー みこうかいのエクスペリエンス・ムービー)は日本のロックバンド、THE YELLOW MONKEYの2枚目のオリジナル・アルバム。1993年3月1日に日本コロムビア・TRIADレーベルよりリリースされた。
2000年8月19日に廉価盤、2013年12月4日にリマスター盤Blu-spec CD2にて再発売。
解説
前作から約8か月と短いスパンで制作された2ndアルバム。2ndシングル『アバンギャルドで行こうよ』と同時発売された。前作同様売上は伸びなかったが、この時期に日本青年館で初のホールライブを実施するなど、動員数は着実に増やしていった。
「90年代における純愛」「後ろめたさ」「過去の自分との訣別」をテーマとしている。また、吉井は「1stアルバムがホワイトサイドであり、2ndはブラックサイドである」としており、「本当は2枚組で出したかった」と語っている。
6分半を越える長尺のバラードが3作(「4000粒の恋の唄」「フリージアの少年」「シルクスカーフに帽子のマダム」)収録されており、これには周囲の反対もあったが、吉井は「自分の中の『僕』『俺』『私』という3つをどうしても歌いたかった」と語っている。
ジャケット写真では、ベゼルの中の吉井が3rdアルバム『jaguar hard pain』に登場するジャガーの恋人マリーに女装している。吉井は「フランスの恋愛映画『ベティ・ブルー』をイメージして、モノクロでもっとドロドロした女装をしたかったんだけど、レコード会社がビビッて小綺麗にしてしまった」と語っている。
収録曲
楽曲解説
- MORALITY SLAVE
- ベートーヴェンの『月光』から曲が始まる。本編直前に入っている声は吉井の語りを逆回転したもので、とてもえげつけない台詞となっている。イントロのナレーションは劇団「梁山泊」の村松恭子が担当した。日本青年館でのライブでは、頭に袋を被せた裸の女性2人をステージに出す演出を行い、それ以来ライブで披露されることはなかったが、1996年12月の「メカラ ウロコ・7」のオープニングで女性(武道館のNGで裸ではない)の人数を2人から20人に増やし、久々に披露された。
- DRASTIC HOLIDAY
- 不倫をテーマにした曲。
- LOVE IS ZOOPHILIA
- インディーズ時代から存在した曲。
- 仮面劇
- VERMILION HANDS
- 当時のライブでは吉井が白目を剥いて歌っていた。
- DONNA
- 山中湖のリゾート・スタジオで録音された。
- この曲は1998年の12月28日の「メカラウロコ・9」以降披露されなかったが2019年12月28日の「メカラウロコ・29-FINAL-」にて20年ぶりに披露された。
- 審美眼ブギ
- ブラス・セクションを交えたアップテンポナンバー。当時ヒットを期待していた1stアルバムが思うように売れず、あまり良い評価をされなかったことを皮肉っている。歌詞内の「長さは50.56cm」とは1stアルバムのトータルタイムである。
- 4000粒の恋の唄
- 吉井曰く「恋に敗れたオカマの曲」。吉井が青春時代を過ごした「女性たちへの懺悔の歌」であり、「だらしない男がそれを歌うとこが凄く重要だと思う」と語っている。また、某女性歌手からカバーの要望があったが、吉井は「この曲は女性には歌えない。こんな情けない僕にしか歌えない」という理由で断っている。『THIS IS FOR YOU〜THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM』であがた森魚がカバーした。この楽曲は吉井があがたに影響を受けていた時期の曲でもある。
- また2013年の吉井和哉ソロツアーにてこの曲がアコースティックアレンジで披露された。
- またその際に3rd Album『jaguar hard pain』のジャケットに描かれたマリーの指輪をはめて歌った。
- アバンギャルドで行こうよ
- 2ndシングル。
- フリージアの少年
- レゲエ調のリズム・パターンを導入したナンバー。吉井はタイトルのフリージアについて、「どんな花なのかを知らなかったため、特に意味はない」としたうえで、「水仙がナルシスだったら、普通とは違ったこんな屈折した男はフリージアと呼んでいいんじゃないかと」と語っている。歌詞は吉井の生い立ちを綴った自叙伝となっており、「過去の自分との訣別の歌」と語っている。
- SUCK OF LIFE
- 2ndシングル「アバンギャルドで行こうよ」カップリング。表記はないが、冒頭にパートが追加され、続けてフェードインに編集されたイントロに繋がる形のアルバムバージョンであり、ライブではこの形態で披露される。のちのベストアルバム収録に際してはこちらを(Album Version)、2ndシングルのカップリングを(Original Version)と表記している。
- インディーズ時代から演奏されていたナンバー。ライブでは定番曲であり、吉井とギターの菊地英昭の絡みが披露されたり、間奏でメンバー紹介がされたりするなどのパフォーマンスがあり、演奏時間が20分を越えることもある。歌詞は男性の同性愛を描いている。後に『MOTHER OF ALL THE BEST』に収録された。2012年にナタリー×レコチョクで行われた人気投票で第3位となり、アルバム曲の中では最高位となった。2013年に行われた『イエモン-FAN'S BEST SELECTION-』のファン投票で4位を獲得し、収録が決定した。
- PUFF PUFF
- 吉井が終始ファルセットで歌っている。70年代のアメリカのバンド・SPARKSにインスパイアされて作った曲である。『THIS IS FOR YOU〜THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM』でMORGAN FISHERがカバーした。
- シルクスカーフに帽子のマダム
- 「母」をテーマにした楽曲。この曲の主人公は次作『jaguar hard pain』に登場するジャガーの恋人マリーであり、収録曲の「Second Cry」にはこの楽曲がサンプリングされている。吉井は「波止場女の曲を洋楽チックにやってみたかった」「転機の一曲だった」と語っている。 ギターソロは吉井と菊地英昭の二人が担当している。
参加ミュージシャン
- THE YELLOW MONKEY
- 吉井和哉:Vocal, Electric Guitar, Acoustic Guitar, Percussions
- 菊地英昭:Electric Guitar, Background Vocal
- 廣瀬洋一:Bass Guitar, Background Vocal
- 菊地英二:Drums
- その他の参加ミュージシャン
- 古川貴司:Piano, Synthesizer, E.Piano, Programming
- 藤田忍、土屋美佳子(TYRANNOSAURUS):Female Vocals
- 前田グループ:Strings
- Masahiro Fujii:Saxophone
- 鈴木正則:Trumpet
- 内田光昭:Trombone
- 細海魚:Accordion
- 村松恭子(新宿梁山泊):Narration
- H.Munekiyo:Piano
脚注
出典
関連項目
- 美輪明宏
外部リンク
- EXPERIENCE MOVIE - THE YELLOW MONKEY | ザ・イエロー・モンキー オフィシャルサイト




