植田 いつ子(うえだ いつこ、1928年10月20日 - 2014年6月3日)は、日本のファッションデザイナー。熊本県玉名市出身。

略歴

玉名市河崎の商家で、6人兄弟の5番目に生まれる。父親が自転車店を営むため玉名駅前に転居。

玉名町弥富小学校、高瀬高等女学校を経て、当時唯一学徒動員がなかった熊本県女子師範学校に進学、卒業後に上京。

桑沢デザイン研究所で桑沢洋子に師事。同時に文化学院デザイン科に通うかたわら絵画研究所で学ぶ。桑沢にデザイナーになることを勧められ、1952年に銀座の高級店「銀座ビジョン」「銀座レインボー」に勤務、チーフデザイナーのジョージ岡に学ぶ。

1956年独立「植田いつ子アトリエ」を開設。1964年ファッションショーを開催。1975年パリでファッションショーを開く。

1976年に皇太子妃(当時)美智子のデザイナーを拝命し2012年まで務める。

1986年ホテルオークラでデザイン活動30周年、1996年サントリーホールで40周年の記念ファッションショーを行った際には、共に皇后・美智子が臨席した。

作家の向田邦子とは親しく付き合い、数多くの服を仕立てた。向田が直木賞受賞パーティーの時には、植田がデザインした衣装を着用している。

オートクチュール・プレタポルテ・ジュエリー(ミキモト)・舞台衣装と様々なジャンルの服飾デザインで活躍した。

2013年2月、アトリエ閉鎖。ドレス作品やデッサンなど多数を玉名市と桑沢デザイン研究所に寄贈。

2014年6月3日、心不全のため、東京都内で死去。85歳没。入院中には皇后・美智子から数回コンソメスープの差し入れがあり、7月15日に東京都内で開かれた「お別れの会」には、皇后・美智子も植田がデザインしたブラウスジャケット姿で出席、献花をした。

受賞歴

  • 1975年 日本ファッションエディターズクラブ賞(FEC賞)
  • 1997年 桑沢特別賞
  • 2003年 熊本県近代文化功労者(第56回)
  • 2015年 玉名市名誉市民

著書

  • 布・ひと・出逢い(1992年10月・主婦と生活社、1997年11月・集英社文庫、2015年2月・集英社文庫「美智子皇后のデザイナー植田いつ子」とサブタイトルをつけた改訂版(電子版あり))
  • 植田いつ子の世界(大倉舜二共著、1983年9月・平凡社)
  • 布に聴く(1996年3月・PHP研究所)
  • 植田いつ子の装い方上手(2003年4月・海竜社)
  • 布と夢―植田いつ子の仕事(大倉舜二撮影、2008年12月・PHP研究所)

参考文献

  • 西山栄子「おいしいlife ing…30からのおしゃれプラン」(1988年10月、大和書房)
  • 高橋光子「この素敵な女たち」(1989年5月、泰流社)
  • 鈴木三郎助「続々 友あり食ありまた楽しからずや―鈴木三郎助グルメ対談」(1991年1月、徳間書店)
  • 相庭泰志構成「向田邦子をめぐる17の物語」(ベストセラーズ、2002年1月)p42-47
  • 婁正綱「心のことば」(2006年9月、世界文化社)
  • 学校法人桑沢学園「桑沢文庫 桑沢洋子 ふだん着のデザイナー展―建学の精神をたどる」(2007年5月、桑沢学園)
  • 文春ムック「日本が震えた皇室の肉声 皇族・側近はこんなに「文藝春秋」で語っていた」(2010年4月、文藝春秋)p96-105
  • 向田邦子全集 別巻2 向田邦子の恋文 向田邦子の遺言(2010年4月、文藝春秋)p227-252

出典

外部リンク

  • 銀座もとじ・泉二のひとくち対談(植田いつ子)
  • 植田いつ子さん - 玉名市

玉名ゆかりの8氏紹介 文学や絵画、映画などで活躍 18日まで企画展|【西日本新聞me】

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「植田いつ子の仕事 布と夢」植田いつ子著/大倉舜二撮影 山田書店美術部オンラインストア

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